解雇は、労働者に対し大きな経済的・精神的不利益をもたらす出来事です。このような労働者の不利益を出来る限り回避するため、法は会社からの解雇について厳しい制限を設けています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とされます(労働契約法16条)。
この社会通念上相当かどうかは、就業規則上の解雇事由に該当するかどうか、当該労働者の勤務状況・処分歴、他の労働者との均衡、解雇手続が適切に行われているか等、諸般の事情を総合考慮して判断されることとなります。
例えば、社長と気が合わない、仕事中に小さなミスを犯してしまった、寝坊して数分遅刻してしまった等という理由での解雇は、とても認められるものではありません。このような理由で解雇された場合、会社に対し、労働者としての地位の確認を求めることが可能です。
また、解雇が無効と判断された場合、労働者は使用者に対し、就労できなかった期間の賃金を請求することができます。
日本では、サービス残業という名目で事実上残業(時間外労働)や休日労働が無償で行われている場合がありますが、労働者は使用者に対し、これら残業代についても請求することができます。
残業(時間外労働)・休日労働を行った場合には、労働者には別途割増賃金を請求することができます。割増賃金は、通常の労働時間における1時間あたりの賃金に対し、残業(時間外労働)については2割5分増、休日労働については3割5分増の金額となります。
ただし、残業(時間外労働)・休日労働分の賃金については、その月の給料日から2年間で消滅時効が成立しますので、ご注意下さい。
「業務上の事由又は通勤による」労働者の負傷、疾病、障害、死亡については、直ちに労災補償を請求することができます。
設問の場合、仕事中の怪我ということなので、労災補償を請求することが可能です。 労災の申請は、請求書に必要事項を記載し、事業主の証明を受けた上で、労基署にこれを提出してください。事業主の協力を得られない場合、その事情を請求書に記載すれば、受理される扱いとなっています。
もっとも、労災は、迅速かつ公正な保護を行うことを目的としているため、事案ごとの個別の事情を考慮した上で給付額が決まるわけではありません。
そこで、行為者や会社に過失がある場合、生じた損害と労災から受けた給付金の差額を、過失がある者に請求することとなります。
設問の場合、同僚には過失があると思われます。また、仕事中の事故ですので、同僚を雇用している会社にも、使用者としての責任(監督を怠った過失)が認められる可能性が高いです。
したがって、生じた損害と労災から受けた給付金の差額(慰謝料等)については、同僚や会社に対し請求することとなります。
セクハラは、人格権あるいは性的自己決定権の侵害であり、法的に不法行為と評価されています。ですから、セクハラを我慢する必要はありません。
行為者に対しては、損害賠償請求をすることが可能ですし、会社に対しては、是正措置を要求することができます。
特に、会社で働き続けたい場合、行為者に対しては、その行為がセクハラであることを明らかにして、「止めてください。」と、しっかり意志を伝えることが重要です。それでもやまない場合、会社の相談窓口等に相談し、社内での対応を求めるべきでしょう。
行為者、又は、会社に対して意志を伝える際には、行為者の行為がセクハラであることを明らかにする必要があります。そのため、セクハラを受けた日時、場所、具体的な行為内容、あなたの対応、周囲の状況、その後の行為者とのやりとり(メール、メモ、電話等)を、具体的に記録しておくことが肝心です。メールやメモ等、証拠になりそうなものは必ず保管しておいてください。
なお、セクハラについて相談したことを理由とする不利益な処分(解雇や配転)は、権利の濫用として認められません。
Q1の冒頭に記載のとおり、解雇は、労働者に対し大きな経済的・精神的不利益をもたらす出来事であるため、厳しい制限が設けられています。
解雇事由は、通常就業規則に規定されていますが、形式的に解雇事由に該当するからといって、直ちに解雇が認められるわけではありません。解雇が認められるには、@労働者の解雇事由が重大で業務に支障を生じさせ、または反復継続的で是正の余地に乏しいこと、A使用者が事前の注意や指導によって是正に努めていること、B使用者が休職・配転・出向等の軽度の措置によって解雇回避の努力をしていること等から、解雇が最後の手段と評価できるような場合でなければなりません。
会社としては、まず、当該社員に対し、その行動が就業規則の解雇事由に該当すること、会社に悪影響を及ぼしていることを指摘し、その是正を求め十分な指導を行うべきです。そのうえで、同じことを繰り返せば解雇せざるを得ないことを事前に説明するべきでしょう。
話合いの経緯については、書面等で残しておき、後に紛争になった際の証拠とすることができるよう備えておくべきです。
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